とんぼ玉の種類

アフリカン・トレード・ビーズの種類はいろいろと分類ができます。

まず材質。ガラスであるかそうでないか、というのは大きな分類法の一つです。これは歴史的な経緯と言うよりは、コレクター・ディーラーの側が「ガラスビーズ」という一つの大きなカテゴリーを持っているためかと思います。

ちなみにガラス以外には石、金属、骨、貝殻、サンゴ、素焼き、などなどがあります。このブログで主に取り上げているのはガラスです。

次に産地。アフリカで見られるガラス製とんぼ玉の産地は、ベネチア、チェコ(ボヘミアン)、オランダ、ドイツ、などのヨーロッパ産、モーリタニアやガーナなどのアフリカ、そして古いものだとフェニキアローマビザンチンを経てイスラム玉時代の中近東・地中海沿岸地域などがあります。

そして製法。代表的なものは細かい模様のチップを芯の上に貼り付けるミルフィオーリ、芯から型に入れながら層を重ねていくシェブロン、小さなチップをくっつけて芯なしで作るモザイク、ガラスの粉を焼いて作る焼成、などなど数多くあります。またこうしたものを組合わせて作られたとんぼ玉もあります。

時代による分類も重要です。アフリカから出てくるとんぼ玉は、地中海沿岸の北アフリカを除けば、大部分は7世紀-13世紀のイスラム時代以降のもの。これに加えてヨーロッパが入ってきてからの15-18世紀頃のもの。そして大量のとんぼ玉が持ち込まれる19世紀-20世紀初頭のもの。さらにそれ以降のもの、があります。もちろん過去に行けば行くほど稀少になりますし、イスラム以前のとんぼ玉も少数ですが出ています。

上にいろいろ書きましたが、あと重要なのはマーケットでの分類です。これは大きな生産地のベネチアで行われている分類とも必ずしも一致しておらず、とんぼ玉の市場で通称として定着している分類です。その代表的なものがファンシーで、これは19世紀頃にベネチアで作られた芯の上に手作業で模様を付けるビーズを総称しています。

ベネチアだと逆にファンシーというような分類はないようで、製法に加え、モチーフや材料による分類があるようです。特に目玉模様(アイ・ビーズと総称)は、とんぼ玉が出現して以来珍重された模様で、特別の名称を持っていることが多いです。