イスラミックビーズ Islamic beads

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 イスラミック・ビーズは日本では通常イスラム玉と呼ばれている、7−13世紀頃の中近東で作られたトンボ玉の総称です。当時中近東ではイスラム教が広まり、栄えてきた頃でしたからこの名称があるのでしょう。実際にはイスラム玉と呼ばれるものの中には産地も製法も相当のバラエティーがあるようで、一くくりに説明するのは難しいところです。産地としては、オールド・カイロやヘブロンなど、ある程度特定されている場合もあるようですが、多分相当の広がりがあったのではないかと思います。技法的には、この時代に先立つローマのモザイクや、ビザンチンの玉を受け継いでいるように思われますが、そのあたりは専門書に譲ることにしましょう。

 サハラ砂漠以南のアフリカでは、特にマリからこのイスラム玉が出てきます。これは当時からマリが交易の中心地で、力のある王国があったためです。当時はもちろんサハラ砂漠を越える隊商によってトンボ玉が持ち込まれたものだと思われます。ベネチアの玉はおおむね15世紀以降から西アフリカにやってきましたが、イスラム玉はそれを遡る、10世紀前後に取引されたもののようです。もちろん扱っていた商人も違います。ただし、そのためか、マリから出てくるトンボ玉の多くは墓地など、土に埋もれているものが大部分です。そのため状態にばらつきが多く、かなり風化が進んでしまったものも見られます。本などには非常に状態の良いイスラム玉の写真が載っていたりしますが、多分ああしたものはトルコとか、アフガニスタンとか、西アジアや中近東に残っていたものではなかろうかと思います。

 イスラム玉は非常に面白く、「この玉はどうやって作られているのだろう?」と思ってみていると飽きることがありません。一見近代のミルフィオーリに似たものがあったので調べてみたら、コアがなく、チップをくっつけ合わせただけでトンボ玉が作られていたり。これなんか、現代のミルフィオーリより作るのが大変だったのでは、と思ってしまいます。

 イスラム玉で忘れていけないのがアイ・ビーズです。アイ・ビーズにもいろいろな種類があって、昔ながらの重ね貼眼玉のようなものもあります。これは丸くて薄いガラスを何枚も重ねて丸い模様を作っているものです。でも代表はやはりブルー・アイ。青い透明なガラスにシンプルな眼玉模様がつけられたものです。この青の美しさと言ったら!見た人は誰もが感心します。現代のガラスにはない青です。後世にこれを真似て作られたと思われるブルー・アイも持っていますが、色の深みがまったく違います。私がお譲りした人の中には、後ろから光をあててディスプレイしている人もおられます。

 このブルー・アイですが、トンボ玉の年代測定ができなかった頃には、紀元前後のローマ時代に作られたものだ、とされてきました。科学的な測定ができるようになった今は、イスラム玉の時代のものだと判定されていますが、文献によっては今でも紀元前後と書いてあるものがありますから注意が必要です。またブルー・アイはガラスの性質なのか、非常にもろいです。割れやすいので取り扱いには注意が必要です。


イスラミックビーズ

イスラミック
ブルーアイビーズ

イスラミックビーズと
ブルーアイビーズ

小粒の
イスラミックビーズ

今までの中で
最上級の一連

とんぼ玉が欲しくなったらミュージアムショップで手に入ります。